システマという格闘技

格闘技を習う発達障害当事者の男性 トレーニング

みなさまお疲れ様です。

以前も少し触れたことがありますが、システマという格闘技をご存知でしょうか?

僕は一時期いろんな武術をやっていたので、システマに関しても練習会に参加したり、本部ロシアからマスターの一人(ヴラディミア・ザイコフスキー氏)が来日した際はワークショップにも参加したりしていました。

ザイコフスキー氏は「世界の果てまでイッテQ」でイモトさんがシステマの本部を訪問したときに少し映っています。僕自身もかなり一生懸命練習したほうなので、少し解説したいと思います。感情のコントロール法なども扱うので、ぜひご覧ください。

まず、世間的にはシステマというと、この感じではないでしょうか?↓

この人たちのおかげ(?)で結構有名になりましたが、システマはロシアの格闘技の一つです。

正直、ピーマンズスタンダードさんがテレビで披露しているシステマはネタでやっているため、解釈は表面的であまり正確ではありません。ご本人ももちろんネタの為でわかってやっているのですが、呼吸法のおかげでどんなに殴られても痛くないとか、本質はそういう類の秘術的なものではないです。

システマはもともとミカエルリャブコというロシア人が、代々家に伝わる伝統的な武術に、スペツナズ入隊後習得したコマンドサンボなどを取り入れた全局面的軍隊格闘術の一つです。

※(一説にはミカエルの所属していた軍隊にいた、システマの原型のようなものを教えていたカドチニコフという先生が本当の創始者という人もいます。年齢的にはカドチニコフの方が上であり、動きも現代のシステマに非常に近いことから、この説の方が有力かもしれません。)

また、システマは沢山の分家?のようなものがあるのですが、あまり流派同士での深い交流はないようです。

・コンバットシステマ

・システマスペツナズ

・システマSV  など

一番メジャーで世界的に生徒が多いのは、先述したミカエル氏のリャブコシステマだと思います。

一番最初に出てくるジャージにTシャツをインしてる太ったおっちゃんがミカエル氏です。とても精鋭スペツナズ出身とは思えない体格ですが、今もマスターたちを手玉に取ってしまう謎の強さは健在です。

システマの批判でもっとも多いのが、「生徒はゆっくり動いてるんだから避けたり、逸らしたりするのは簡単じゃん」というものです。

ですが、システマには本気で力を入れて早くやったら生徒を大ケガさせてしまうほど強力な技があり、頭突き、金的、目つぶしも禁止ではないのでエキサイトしすぎると下手したら殺し合いになってしまいます。相手を不必要に傷つけるのは禁忌なので、先生は生徒を破壊するようなやり方は絶対にしません。

蛇足ですがシステマはゆっくりやっているようであくまでも超実践主義です。なので、足場が安定していて、審判のいる試合形式などは一切やりません。おそらく今後もそういう形でのスポーツ的な発展はしないかと思われます。

 

システマを初めて習う人が面食らうのが、この格闘技には画一的な型や、特有の必殺技みたいなものも何一つないことです。正拳突きの練習やジャブの練習もしません。軽めに自分なりのフォームでペアの相手を全身殴ってみたり、蹴ったりします。その時の殴られた痛みや、衝撃によるショックを素早く呼吸することで緩和し、精神状態をフラット(システマではカーム(凪の状態)と呼ぶ人が多いです)に戻すのがシステマの呼吸法であり、痛みを感じなくするのが目的ではありません。

本当に戦場で銃弾が飛び交う場所や、塹壕などで敵と戦うときなど、極限状態ではお仕着せの型は役に立たないという考え方のようです。

僕自身はこの点だけがちょっとなんだかなーとは思いますが・・・

なぜなら、システマのマスターはほぼ全員が元スペツナズ隊員でコマンドサンボや極真空手、ナイフ術などの軍隊格闘術を学んだことのある人ばかりです。ミカエル氏もロシアの伝統武術(おそらくステンカや、シャシュカという剣を用いる武術などでしょう)を代々学んできた家系なので、最初から全くのド素人ではありません。

なので、格闘技のバックグラウンドが無い人がシステマをやり続けても、マスターの動きをできるようになるとは正直思えません。

そこだけが僕がシステマに対し疑問に感じる点ではあります。

 

では、フィジカル面や格闘技として強いのか?という議論は置いておいて、システマには他の格闘技と一線を画すとても優れた面もあります。

それは、メンタル面を鍛えることに主眼を置いたトレーニングが多いことです。

システマでも筋トレ「的」なことをやります。↑の動画のように、基本的な動きは、

①スクワット

②拳立て伏せ

③シットアップ

④レッグレイズ

の4つです。

ここで注意してほしいのがこれらの名前は筋トレと変わりませんが、実際にやっていることとその目的はまったくの別物(これマジ大事)です。

例えばスクワットは全身リラックスして、お尻が地面に付く直前までゆっくりおろします。必要ならば上体を少し曲げても構いません。なるべく不必要な力を抜きます。疲れて腰や上体が力んできたら、体を少し揺さぶったりしても一向に構いません。

拳立ても同様で、これはボディビルのプッシュアップではありません。なので姿勢を維持する最低限の筋肉以外はすべてリラックスさせます。膝もピンと伸ばす必要は全くありません。お尻が極端に落ちるのはよくないですが、美しいフォームでやろうとしなくて全く構いません。耐えるために多少ならグネグネ体をひねってもOKです。少しでも長く耐えられるように、負荷をあちこち分散させてください。

回数を重ねるとどんどんしんどくなり、肩や腕が疲労と無駄な力みでガチガチになってきます。

そ・こ・で!例のピーマンズのスハスハする速いテンポの呼吸法をやるんです。

これをやって姿勢を維持できるよう耐えつつも、無駄な力が体のどこかに入っていないか冷静に観察するのです。

呼吸を止めてしまうと、頭に血が上ってそれどころじゃなくなりますが、呼吸を続けることで自分の体のどこが無駄に力んでいるのか分かるようになります。

多くの人が、首筋や肩、腰に余分なテンションを発生させると思いますが、人によっては手とか、お尻、足かもしれません。

実はこれ、あなたが何かにムカついて怒りに飲まれそうなときに、無意識に力ませる部位と同じなんですよ!!

つまり、このワークを繰りかえすことで、自分が怒りやパニックに飲まれそうなとき、どこをリラックスさせれば素早く冷静な状態に戻れるかを把握できるようになるんです。

システマは超実践主義だと言いました。たとえば、街でチンピラに絡まれて体が縮こまったとき、人は冷静さを失ってしまいがちです。ですが、自分が素早くリラックスする方法を学んでいれば、無理に応戦しなくても視野を広げて助けを求めたり、逃げたりすることも可能になります。ケンカなんて逃げるのがベストですよね?ヘンに相手を殴って後日まで恨まれてしまったり、自分ではなく連れて歩いている彼女に矛先が向かう可能性だってありますから。

 

マスターたちが口をそろえて言うのは、「戦場では、勇ましい人が一番最初に死ぬ」そうです。

目立たず、影のように冷静に最適の選択をできる人がサバイブできるとのこと。

実際に人質救出作戦や、対テロ作戦を行ってきた人たちの言葉は重いですよね。

 

締めになりますが、システマは格闘技やケンカで強くなりたいというのなら、ぶっちゃけ学んでもあまり意味がないと思います。

システマの本懐は戦場から必ず生きて帰ることです。

そのために冷静さをキープしたり、自分を見失いかけてももう一度復活できるようなトレーニングを積むのです。

もしよければ体験してみてはいかかでしょうか?

本当の強さとは、相手を叩き潰すのではなく、自分に勝つことなのだと教えてくれます。

非常に奥の深い武術なので、ぜひ。

これからも皆さんにとって有益な情報をどんどん提供していきます。

応援よろしくお願いいたします!

 


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コメント

  1. 耕蔵 より:

    はじめまして。耕蔵です。
    私は長年ASDで苦しんできました。体を鍛えることでASDは改善しますか?

    • ぶさえもん ぶさえもん より:

      初めまして、記事を読んでくださりありがとうございます。
      体を鍛えるのにもいろいろ方向性がありますが、ASDの療育に特化するなら、ゴムチューブと反動を使った「少し力を使う」有酸素運動が良いと思います。
      一人でも家が狭くてもできますし、心肺機能の向上や慢性疲労の軽減に役立つでしょう。
      せっかくですので、チューブで具体的にどんな運動をすればいいか参考図書を近日中にアップいたしますので、ご参照ください。

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